研究課題
基盤研究(C)
合成直後の単層カーボンナノチューブのバンドル状構造をほぐし、硝酸中で超音波処理すると、アーク放電時に混入した金属種が除去され、室温、0.1MPaでの水素収着量は実質的にゼロになる。精製試料を再び硝酸に浸漬し、チタン、ニッケル等の遷移金属の共存下で超音波をかけると、TPD(昇温脱離)分析では収着水素が検出されるが、TG/DTA(熱重量示差熱分析)では検出されない程度の水素収着能が認められた。スパッタリング法および蒸着法でニッケル、マグネシウム等を堆積させた場合も、室温、0.1MPaで僅かな水素収着が認められたが、TG/DTAで定量するにはいたらなかった。以上のことから、精製後に金属修飾する場合、化学的に活性な状態の金属を乗せる必要のあることが示唆される。アーク放電によるカーボンナノチューブ合成と同時に金属を気相で修飾する気相法(PVD法)により種々の遷移金属または典型金属で修飾されたナノカーボン材料を合成したところ、全ての試料でTG/DTAによる水素定量が可能であり、容量法でも制度良く測定できた。室温、0.1MPaで最大の水素収着量を示した系はパラジウムで修飾したものであるが、その量はO.4Wt.%程度であった。水素収着量は試料の比表面積に対して正の相関をするほか、試料中の炭素含有量やラマンのグラフェンシートのずり振動の強度とも正の相関をすることから、炭素成分が容量を支配していることがわかる。ボンブ熱量計で燃焼熱を測定すると、いずれの試料も炭素そのものの発熱よりは大きい発熱を示し、エンタルピー的に高い状態にあることがわかった。また、鉄やニッケルで修飾したものはこの違いが著しく大きく、炭化物生成反応が吸熱で進行することと関連づけられる。合成時の金属と水素吸収のための金属の分業が認められたため、これが他の手法で展開・確認できれば、新材料合成の指針となり得る。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件)
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