研究課題/領域番号 |
18560677
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤谷 渉 大阪大学, 大学院・工学研究科, 技術専門職員 (90379149)
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研究分担者 |
中野 貴由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30243182)
馬越 佑吉 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029216)
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キーワード | 骨質評価 / ラット下顎骨 / 生体アパタイト / c軸配向性 / X線回折 / in vivo応力分布 |
研究概要 |
硬組織の力学機能は、骨量そして骨質によって支配されている。我々は、咀嚼開始から成熟期にいたるまでのラット下顎骨に注目し、成長にともなう皮質骨体積、骨密度などの骨量の変化とともに、生体アパタイト(BAp)のc軸分布、すなわちc軸配向性に代表される骨質について詳細な解析を行った。 本年度は主として20,30週齢の長期飼育した成熟期SDラットからのデータ解析も加え、その結果をもとに総合的に骨質評価を行った。また、モデリングモデルとしての成長期ラット下顎骨の骨体積、骨密度、骨質などの変化に対する、咀嚼の影響をより詳細に解析し比較検討するため、リモデリングモデルとしてビーグル犬下顎骨およびその抜歯モデルを作製し、咀嚼障害の効果についても総合的に検討した。その結果以下の知見を得た。 1.ラットにおいて、皮質骨断面積は、成長とともに比較的単調に成熟期においても上昇した。一方、骨密度やBAp配向性は早期に飽和し、強い部位依存性を示した。また、ビーグル犬でも、同様の結果が得られた。 2.ラットにおいて、咀嚼にともない、歯根直下にて複雑な局所応力分布の影響を受け、近遠心方向のみならず、咀嚼方向へも強い配向性を示す領域が現れた。一方、ビーグル犬においても咀嚼の荷重を主に支える舌側歯根直下部位において類似の傾向が認められたが、海綿骨の存在や断面積の増加による単位面積当たりの応力が小さいなどの影響により、咀嚼による負荷応力を分散する傾向が推察された。 3.咀嚼障害を引き起こしたビーグル犬では、急速な骨密度分布の平坦化と配向性の変化が認められた。 こうした骨量・骨質の協調的変化は、成長度合い、さらには咀嚼に基づくin vivo応力分布と密接に関係することが明らかとなった。
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