研究課題/領域番号 |
18560679
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
花尻 達郎 東洋大学, 工学部, 助教授 (30266994)
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研究分担者 |
森川 滝太郎 東洋大学, 工学部, 教授 (80191013)
鳥谷部 達 東洋大学, 工学部, 教授 (20266993)
柏木 邦宏 東洋大学, 工学部, 教授 (30058094)
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キーワード | SOI基板 / SOQ基板 / SIMOX基板 / BOX(Buried Oxide) / キャリア捕獲中心 / SOI MOSFET / SOQ MOSFET / サブスレッドショルド係数 |
研究概要 |
SOQ MOSFET試作の準備段階として、今年度はまずSOQ基板の代替としてSOI基板を用いて、基板におけるナノオーダー級超薄膜の基礎物性評価方法を確立した。具体的には、SOI基板の一種であるSIMOX(Separation by implanted oxygen)基板上に存在する高密度のキャリア捕獲中心について、SOI層の膜厚をナノオーダーの精度で制御して作製したMOSFETのバックバイアス特性およびフロントバイアス特性から、高密度のキャリア捕獲中心が膜中の厚さ方向について分布を有することを実験的に初めて明らかにした。またさらに、その起源を解明するために、SIMOX基板の評価を行なった。高分解能SEM(Scanning Electron Microscope)およびTEM(Transmission Electron Microscope)による局所的な原子像からは、SIMOX基板でもSOI/BOX界面は原子オーダーで非常に平坦に見えるが、一方ではSPM(走査プローブ顕微鏡)、顕微ラマン分光装置、走査型AES(オージェ電子分光)装置などを用いて基板の評価を行なったその結果、キャリア捕獲中心の密度はSOI/BOX(Buried Oxide、埋込み酸化膜)界面近傍における凹凸と強い相関を有することが明らかとなった。以上の成果は、IEEE EDに論文投稿準備中である。また、新規SOQ MOSFET開発の準備段階として、先端ナノ電子デバイスの一つとしてSOI MOSFETについて、空乏層の広がりによるチャネル遮断によってデバイスをオフにするノーマリー・オン型のデバイス(空乏型SOI MOSFET)を提案しているが、デバイスシミュレーションによりその有用性を検証した。空乏型SOI MOSFETにおいては、SOI膜厚によるサブスレッドショルド係数の制御が容易であり、SOI膜厚を40nm程度以下の超薄膜にすることにより通常の反転形MOSFETよりもサブスレッドショルド係数を低減できることが示すことができた。また、簡単な等価回路モデルによってこのデバイスシミュレーションによる結果を説明することができた。現在、実験的検証に着手している。この成果についてはIMAT2007で採択され、Journal of Nanoscience and nanotechnologyに論文投稿予定である。
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