研究概要 |
最終年度にあたっては、SOQ基板(silicon on quartz)の応用分野としてエレクトロニクスに留まらずμ-TAS(micro-total-analysis system)のプラットフォームとしての有用性について、検証を行なった。具体的には、分析機能まで含んだセルソーターのオール・イン・ワン化のためにはSOQ基板が非常に有望なプラットフォームであることを提案し、そのための基礎的な実験的検証を行なった。近年,再生医療研究や創薬活動において,特定の細胞(セル)を分取して培養する,あるいは単一の細胞に特定の分子を導入,観察して薬剤の挙動を分析するなどの研究が盛んに行われている。例えば、ある細胞に対する特定の分子の影響を評価する場合には、各臓器培養細胞ライブラリーを作成し、これらの培養細胞を分離・精製して品質を管理したり、物質投与後の各細胞を分別して状態を観察したりすることが必要になり、このような細胞の分別には、現在、フローサイトメトリーもしくはセルソーターが用いられているが、システム全体としてはポータブルなものにはまだ程遠く、価格も数千万円オーダーと非常に高い。それを解決するために、SOQ基板の準備段階としてガラス基板上にンチップ・セルソーターを用いて細胞の反応量とゼータ電位との相関を極めて定量的に評価する方法を開発することに成功した。その一方でエレクトロニクス分野においても、もっとも代表的な半導体デバイスであ るMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Filed Effect Transistor)の基板として現行のSi基板や、ポストSi基板の最有力であるSOI(silicon on insulator)基板を用いるよりもSOQ基板を用いた方がデバイス特性が向上することをデバイスシミュレーションおよび実験により検証することに成功した。
|