リチウムイオン電池(Lithiumion battery:LIBと略す)はエネルギー密度が二次電池中最も大きく、電源が小型化出来る利点があり大きな市場を形成している。しかしながら現行のLIBはその電解質に引火性の有機溶媒を使用しており、発火の危険性がある為、大型化しにくいという欠点がある。加えて最近では携帯用小型LIBの発火事故の報告が相次いでおり、早急なる高度安全性を有する新しいリチウムイオン電池の開発が望まれている。そこで本研究は、従来までに申請者らが見出した新しい電池材料であるイオン液体(高度難燃性と高いイオン伝導性を有する)と新しい電池構造設計を有機的に組み合わせ、「高度の安全性を有する実用的不燃リチウムイオン電池」の創製を目的とした。 難燃性とイオン伝導性を併せ持つイオン液体に重合性の官能基を導入したイオン液体モノマーを合成し、このモノマーを簡便なバルクラジカル重合により重量平均分子量数百万以上の巨大ポリマーとした。合成したポリマーをゲストポリマーとして四級アンモニウム塩型イオン液体に溶解し、イオン液体ポリマーゲル電解質を得た。ポリマーゲル電解質は、高イオン伝導性(10^<-4>S/cm@30℃)を示し、リチウムイオン電池用難燃性ポリマー電解質としての機能することが明らかになった。 H19年度はラミネート型リチウムイオン電池を設計・試作してその実用性能を評価した。正極材、負極材とイオン液体ポリマーゲル電解質との適合性を調査検討したところ、Li_4Ti_5O_<12>/ionic liquid polymer gelelectrolyte/LiMnO_4系のポリマー電池では、3C率放電が可能であることが明らかとなり、難燃型リチウムポリマー電池としては世界最高レベルの高出力電解質特性を発現した。 さらにこのポリマー電池を利用したポリマー型電気二重層キャパシタを試作し、その初期性能を明らかにした
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