研究概要 |
(1)膨潤現象による基礎・基盤研究、(2)機械変形による構造色変化材料の基礎研究、(3)表示媒体の実現に必要な電場や光によって構造色が変化する薪材料の探索のうち、昨年度に引き続き(1)及び(2)において進展があり成果が上がった。(1)に関しては膨潤現象を利用した溶媒センシング材料としてアルコール溶媒中に含まれる微量水分を簡便な分光器によって測定可能であることを実証した。具体的にはシリコンエラストマーを充填したポリスチレンコロイド結晶の人エオパール薄膜のファイバー式反射分光スペクトルからエタノール中に含まれる0.1Vol%オーダーの水分量を測定することができた。溶媒選択性に関して問題のあるもののチューナブルフォトニック結晶としての応用として既存の研究報告と比べ精緻なセンシング特性である。次に、(2)の機械変形による歪みセンシングに関しては塑性変形材料にコーティングすることで歪み分布の2次元マッピングカ河能であることを見いだした。光学顕微鏡像及び顕微分光解析により10μmオーダーの局所歪みの可視化が検証できた。塑性変形を直接目視で確認できる構造色変化として視認できるソフトオパール薄膜のこの現象の発見は工学的な応用の可能性のみでなく歪み現象を可視化したという学術的な点でもユニークな研究成果と言える。なお、前年度の成果でもある弾性変形による構造色が可逆的に変化するフォトニックラバーシートの成果が米国の物理教科書(Wiley,Fundamental of Physics,8th Ed.)に可視光のブラッグ回折とその周期構造による変色の事例として掲載された。(3)に関しては均一・均質なソフトオパール薄膜の作製に関する製膜技術に関して基本技術を確立できた。しかし、電場あるいは光による構造色チューニングする新材料探索について成果は挙がらなかった。総括するとソフトオパール結晶薄膜の膨潤、歪みによる構造色制御に関してその応用を含め顕著な進展が見られた。
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