研究概要 |
ソフトオパール結晶とは柔軟な機械特性を有するコロイド結晶である。規則配列した単分散粒子とその粒子間をエラストマーで充填した複合材料でもある。薄膜化したソフトオパール結晶を用いた2つの研究成果を報告する。1.膨潤現象に関する基礎・基盤研究:溶解度パラメータが未知のエラストマーの溶解度パラメータを簡便に求める方法を開発した。溶解度パラメータσが既知の溶媒により膨潤時の反射ピークシフト△λを測定する。溶媒20種類ほどにおいて得られたデータをσと△λの関係をプロットした。この結果、△λの極大を与えるσがエラストマーの溶解度パラメータと推測できる。参照としてピークシフト量の代わりに、エラストマーブロックの伸張度(L/LO)変化を調べた。(L/LO)が極大を示すσがエラストマーの溶解度パラメータの値はほぼ一致した。新手法は膨潤平衡までの到達が数秒で達するため,極めて短時間非接触、簡便でといった特長を有する。2.弾性変形による構造色変化:ゴムシート表面にコロイド結晶をコーティングした。コロイド結晶の粒子配列が応力歪みで変化する新材料を開発した。この新材料は"Photonic Rubber sheet"とゴムシートを引き延ばすことで赤色から緑色に可逆的に変色することができる。また、加える応力歪みとブラッグ回折のピーク波長からセンシング材料として応用が期待できる。顕著な成果としてフォトニックラバーシートの成果が米国の物理教科書(Wiley, Fundamental of Physics, 8th Ed.)に可視光のブラッグ回折とその周期構造による変色の事例として掲載された。
|