研究概要 |
平成18年度には、Fe-Mn-Si基形状記憶合金の制振特性が可逆的γ〓ε変態に起因することを見出した。本年度は、Fe-Mn二元系制振合金、Fe-Mn-Si基形状記憶合金の基本合金組成を出発点として、Mn濃度、Si濃度を調整し、合金の相変態温度、積層欠陥エネルギー、降伏強度が異なる合金を作製し、制振特性、物理諸特性、内部組織を調査した。作製する合金組成は以下ニシリーズである。(1)Fe-xMn-ySi-zNbC,(x=17,30;y=0,3,6;z=0,0.5mass-%)(2)Fe-xMn-6Si-5Cr-zNbC,(x=20,22,24,26,28;z=0,0.5mass-%) 上記(1)のシリーズでは、積層欠陥エネルギーが低いがM_s点が室温より高いFe-17M丑合金と、積層欠陥エネルギーはやや高いがM_s点が室温直下のFe-30Mn合金においてSi添加量の影響を調査した結果、Si量が増加による磁気変態点T_N点の低下、母相強度の上昇、積層欠陥エネルギーの低下、εマルテンサイト生成量増加などが系統的に整理できた。上記(2)のシリーズでは、Mn量の減少による、28Mnから22Mnの間におけるM_s点の変化に伴う変形挙動や相変態挙動の緩やかな変化と、22Mnと20Mnの間でのα'マルテンサイト発生による変形挙動の変化が明らかになった。以上を整理することにより、対地震用制振効果を得るための条件が以下の通り判明した。(1)M_s点およびTN点が室温以下であること(2)積層欠陥エネルギーが低く、母相強度が高いこと
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