本研究では光ファイバを超音波伝送路として用いる新しい非破壊検査技術の確立のため、光ファイバと接触物質との超音波漏洩・流入の実験評価、およびセンサ開発に関する研究を行った。 以下にそれぞれの研究結果の概略を記す。 1.超音波ガイド光ファイバセンサの有効性検証実験 光ファイバを超音波ガイドとして利用し、試験体上の超音波伝搬を計測するセンサを開発した。この光ファイバをガイドとして利用した超音波計測システムでのファイバと他の物質との接触の影響を解析し、水滴による流入漏洩が発生することを明らかにした。また、超音波センサとして一般に用いられる超音波トランスデューサの代わりに光ファイバーガイドセンサで置き換えた超音波伝搬可視化計測システムでの可視化計測の有効性を検証し、センサ端の大きさの違いから超音波トランスデューザの使用時より発振源を小さくした現象を可視化できることを明らかにした。さらに、この可視化実験により、本開発センサの特性となる光ファイバの接着端点まわりの超音波伝搬特性に指向性があることを明らかにした。 2.流入超音波を利用した超音波ガイド光ファイバセンサの開発 FBGを書き込んだ光ファイバの一部(FBG書き込み部以外)を試験体と接着させ片持ち梁形状のセンサを作成した。接着部から光ファイバに超音波が伝搬し、FBGで超音波を検出することができることを明らかにした。このような形状のセンサでは共振型の超音波センサとなることを明らかにし、FBG部を試験体に完全接着させるよりも超音波検出感度が向上することを明らかにした。 上記のように本年度において光ファイバが超音波伝搬経路として作用し、新しい超音波を利用した非破壊検査技術におけるセンサ、またアクチュエータとして機能することを明らかにした。
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