近年、電磁波障害を受けないことや軽量・小型であることなどの利点から光ファイバセンサが構造体健全性評価において期待されている。これまでに研究された超音波検出光ファイバセンサは超音波振動が導光路であるコア中の光伝搬特性に影響を及ぼし、その光学的特性変化から超音波を検出する原理に基づいている。 本研究では光ファイバが優れた超音波ガイド特性を有することに注目し、被検体に光ファイバを貼り付け、圧電素子を用いて発生させた被検体を伝搬する超音波を光ファイバで受信する、または圧電素子を用いて光ファイバに伝搬させた超音波を被検体に送信する基本的特性を実験、および解析的に評価した。一連の研究から超音波伝搬特性に優れた光ファイバの構造を明らかにした。また被検体への取り付け方法を工夫することにより共振特性を持たせることが出来ることなどの超音波検出特性の制御技術などを開発した。そして金属材料中の欠陥検出を超音波ガイド光ファイバを用いた超音波検査で行い、超音波ガイド光ファイバの有効性を実証することができた。 この超音波ガイド光ファイバセンサは被検体に接触させ、超音波振動を光ファイバに伝搬し、接触領域から離れた場所に設けた超音波受信センサを用いて超音波を検出する。このため被検体が受ける温度やひずみなどの外乱の影響を受けることなく超音波検出が可能になる。このような特徴から高温における超音波検査などへの利用が期待される。
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