研究概要 |
熱伝導率が非常の大きい純銀で作成した小寸法(直径10mm,長さ30mm)の銀棒試片を用いて,高温まで加熱後に各種焼入冷却剤中に浸漬して焼入冷却曲線データを測定した。さらにそのデータから集中熱容量系として近似的に熱伝達率の算出を行った。その結果,冷却曲線データから集中熱容量法を用いて熱伝達率を算出するときに,測定した離散データから試片の冷却速度を求める際のデータのサンプリング間隔が大きいと算出精度が低下する場合があることを確認し,熱伝達率算出法についての検討を行って焼入冷却時の熱伝達率算出精度の改善をはかった。算出精度の低下の原因は,測定した冷却曲線の離散データから試片の冷却速度を求めるときに,データのサンプリング間隔が大きいと算出精度が低下する場合があるためであることを確認し,その改善のため,サンプリング間隔が大きい場合は,スプライン補間によって冷却曲線データの補間データを作成した後に冷却速度の算出を行うことが有効でることを確認した。さらにデータ補間間隔の最適値について検討し,開発したプログラムの設定を最適化して,熱伝達率算出精度の改善を行った。さらに,熱処理に用いられる各種の冷却剤(水,熱処理油,食塩水,ポリマー焼入液,溶融ソルト,溶融金属)について,銀棒試片による冷却曲線データの測定と改良したプログラムを用いての熱伝達率データの算出を行い,その結果をEXCELデータシートの形式にまとめる作業を進めた。
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