研究概要 |
ナノNi粒子分散Al_2O_3ハイブリッドのクラック自己治癒効果と高温酸化に関して検討を行ったところ,以下の知見を得た. (1)高温酸化処理によるクラック自己治癒効果を確認 硬さ試験機で導入したクラックは高温酸化処理により除去できることがわかった.例えば,大気中1200℃の酸化処理であれば3h程度でほぼクラックは消滅した.熱処理温度とクラック除去に必要な熱処理時間の逆数の関係はアレニクス型を示した.また,Ni粒子が酸化しない雰囲気での熱処理ではクラック除去がされなかった.以上のことからクラックを埋めるための外方拡散によるNiAl_2O_4の生成によりクラック除去が起きているものと考えている. (2)Yドープが酸化速度の低減に有効 ナノNi粒子分散Al_2O_3ハイブリッドに対しY_2O_3換算で0.1mol%を導入したところ,酸化層成長の放物線速度定数で概ね50%低下した.希土類添加処理が高温耐酸化性向上に有効であることを確認した.一方,ナノNi粒子の酸化により,マトリックスのAl_2O_3粒界はNiとYのマルチドープとなっていると考えられる.Al_2O_3焼結体に対するYドープでは粒界拡散係数が数桁も増加することを考えると,Al_2O_3粒界のNiドープはYの粒界拡散の抑制効果を弱める働きがあるといえる. なお,これらの成果はH19.3の日本金属学会春季大会で講演した.また,H19.7に開催されるAustoceram07において講演予定である.
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