研究概要 |
目的:リーチングによるナノ粒子からなるスケルタル構造の生成とバルク多孔質体の創製を目的とした。従来ほとんど報告例がない貴金属系のAl-Pt,Al-Au,Al-Pd,Al-Cu-Pd,Al-Cu-Au,Al-Ag-Pd合金の急速疑固粉末を前駆体として作製し、前駆体に及ぼす急冷効果、多孔質スケルトン構造の生成とバルク化ついて研究を実施する。微粒子生成機構について基礎的な検討を行う。 結果:1.急冷効果:Al-X2元系ではX=Pd、X=PtではほぼAl fcc単相を得ることが出来た。3元系でも急速凝固の効果は大きく、Al-Pd-Ag系では均一過飽和固溶体単相の前駆体が得られた。 2.多孔質体の生成:前駆体をNaOH20%溶液でリーチングした結果、全ての試料でリーチングが可能であった。得られた試料のX線回折は前駆体とは結晶構造が異なったブロードな回折パターンであり、リーチングによる相変態で貴金属微粒子が生じたことが明らかとなった。 3.比表面積はPd系では80m^2/gときわめて高い値であり、Pt系でも55m^2/g程度であった。この結果は、数nmの微粒子からなるスケルタル構造が生成されたことを意味している。 4.放電焼結法(sps)によるバルク状試料は可能であった。SPSによって得られたバルク材の見かけの密度はAuを除き、4-5g/cm3であり、通常のバルク材のものと比べて極て低い値であった。構造材としては強度は低いけれど、高い比表面積を持ったバルク材がSPSにより可能であと判断できた。 5.リーチング過程のモデルについてはモンテカルロシミュレーションを試みたが現段階では多くのパラメータが未知であり、当初目的としたような成果を得るにはいたってはいない。
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