研究概要 |
輸送機械分野への応用が期待されているマグネシウム合金と亜鉛めっき鋼板との異材重ね継手形成に対し摩擦攪拌点接合法を適用し,接合部断面観察によりその接合機構を詳細に検討するとともに接合部断面組織と機械的性質との関連性を調査すること,また動的陽解法汎用有限要素法を用いた塑性流動解析を実施し,解析結果と実験結果を合わせて摩擦攪拌点接合法の接合因子となるツール形状,ツール回転数,ツール押込みパターンの最適条件を探索し,異材摩擦点接合プロセス最適化手法を確立することを目的とした.本年度は,マグネシウム合金として広く用いられている板厚2mmのAZ31合金,AM60合金ならびに近年開発され車体等への応用が切望されている難燃性AMC602合金の同種材重ね継手の摩擦攪拌点接合性を調査した.プローブ長2.4mm,ツール回転数1750rpm,加圧力9.8kNの条件で接合時間を変化させた継手引張せん断強度は,AZ31合金の場合最大で4.2kNであったのに対し,AM60合金の場合最大で3.3kNであった.AM60合金の引張せん断強度を改善するため,プローブ長,ツール回転数,加圧力の影響を検討したところ,プローブ長2.9mm,ツール回転数3000rpm,接合時間4sの接合条件で引張りせん断強度は大きく増加した.断面観察の結果,温度上昇により材料が軟化し塑性流動域が広くなっていることが確認された.一方,プローブ長,加圧力の影響はほとんど認められなかった.また,AM60合金と比較してAMC602合金は塑性流動性がよく,AZ31合金と同程度の引張りせん断強度が得られることを確認した.また実験と平行して,2次元軸対象モデルを用いた動的陽解法汎用有限要素法による塑性流動解析を実施し,ツール形状,ツール回転数,ツール押込みパターンの変化による計算の速度,並びに収束性を確認した.
|