目的の場所へサイズや形状を制御して、ナノ構造を作製できる方法として電子線誘起蒸着法(EBID)がある。この手法を用いてFeやその他の金属ナノドットを作製して、加熱することにより、合金ナノ構造物が作製できると考えられる。そのときの基板の種類、金属の蒸着量、熱処理温度によっては、単なる合金だけでなく金属問化合物が生成することも予想される。そこで、基板にPtなどの金属を用いてEBIDで金属ナノ構造を作製し、その後に熱処理をすることにより、次世代の磁気記録媒体として有望とされているFePt等の金属間化合物ナノドットを基板上に配列する技術を確立することを最終目的として研究を行った。 EBIDでFeやPtを堆積させるためには、それぞれFe(CO)_5および(CH_3)_3(CH_3-C_5H_4)Ptを原料とした。 まずは、EBIDによりFeナノ構造物を作製し、その上にPtを蒸着し、その後熱処理をすることでFePt_3金属間化合物ナノ構造を作製することに成功した。しかし、この金属間化合物は反強磁性であるため、磁気記録媒体用には不適である。 次に、Feを含む原料とPtを含む原料を同時に用いてEBIDを行い、その後熱処理することで、FePt金属間化合物ナノ構造を作製することに成功した。また、電子線ホログラフィー法により、このナノ構造物は強磁性であることを確認した。しかし、このナノ構造物は、原料から混入する炭素を多量に含んでおり、純度の向上が今後の課題であると考えている。
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