研究概要 |
鉄鋼やアルミニウム等の金属材料の製錬・鋳造分野で重要な課題となっている非金属粒子の除去方法として,直流電流と直流磁場の重畳印加による直流ローレンツ力を利用する方法を提案し,そこで問題となる,流動存在下でのみかけの重力に及す直流ローレンツ力影響を調査した.実験はガリウム合金中に侵漬した非導電性球体粒子の重量変化を測定することによって行われた.その際,まず,直流ローレンツ力が均一で流体の流動が発生しない条件で重量変化を測定し,LeenovとKolinの理論と一致していることを確認し,本実験系が正当であるとした.次に,流速の影響を正確に導くために,流速の測定方法を開発した.これは,Viveのプローブを簡素化したもので,直流磁場が存在している条件下で、2本のマイクロプローブに現れる電位差によって流速を補正するものである.この実験装置を使って得られた知見を以下に示す. 1.対流が存在する場合の重量変化は対流が存在しない場合のそれより低下した。ローレンツ力の回転力成分が大きくなり,浮力制御に有効な成分(非回転力成分)が減少した. 2.簡易的な流速プローブよって流速を測定した結果,ローレンツ力の回転力成分Frの増加にともない流速の増加が見られ、高磁場印加(0.95T)によって対流の抑制効果が現れた. 3.ローレンツ力の回転力成分を磁束密度B、電流密度J、流速vで定量化するためスチュアート数Nを用いて記述できることを明らかにし,ローレンツ力の回転力成分とスチュアート数の関係を定量化した.
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