研究概要 |
従来法による天然グラファイトの粉砕では,微小粒子を得るため,長時間粉砕を行うことにより,グラファイト固有の優れた結晶構造が破壊されてしまい,その結晶構造に由来する機能性(電気伝導性,層状結晶内にゲスト分子を取り込む能力など)を阻害してしまう欠点がある。我々のこれまでの研究からわかった,天然グラファイトの乾式粉砕における粉砕雰囲気が,粉砕速度に大きな影響を及ぼすことに加えて,微小ビーズを大量に用いた粉砕によるマイルドな粉砕条件が存在することを本研究により見出した。これにより,高結晶性とナノ構造化(高比表面積)を両立させたグラファイト粒子の画期的な製法を開発しつつある。つぎに,調整した高比表面積のグラファイト粒子の層間に,SOCl_2を溶媒として,H_2PtCl_6を原料として,液相法でPtCl_4-グラファイト層間化合物を合成する方法を確立した。さらに,本サンプルを還元し,貴金属原子Ptをゲスト剤としてもつ触媒材料の開発と,その反応特性の評価法,その結果の検討を開始した。 H19年度は,これらの結果を,粉砕方法条件のほうへ,フィードバックしながら,効率の良い,高結晶性とナノ構造化(高比表面積)を両立させたグラファイト粒子の生成法をさらに検討していく予定である。
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