研究概要 |
PEG化蛋白質の噴霧乾燥法による粉末化に関する研究を遂行するため、平成18年度は,アルコール脱水素酵素(ADH)を用いて以下の研究を行った. (1)ADHの噴霧乾燥粉末化と残存活性に与える乾燥条件の検討 トレハロース水溶液にADHを溶解させた酵素水溶液を調製し、噴霧乾燥機を用いて熱風入口温度120℃、アトマイザー回転数30,000rpmの条件で噴霧乾燥酵素粉末を作製した。トレハロース濃度、酵素濃度、熱風入口温度等がADHの残存活性に与える影響を検討した。トレハロース濃度が高くなるとADHの残存活性は増加した。特に、30%から40%の間の増加が著しかった。ADH濃度が高くなることにより、ADH活性残存率はトレハロース濃度20%では約0.5、30%では約0.6、40%では約0.7まで高くなった。熱風入口温度の上昇と共にADH残存活性は一様に減少し、180℃の場合には120℃に比較して約1/2となった。 (2)微量蛋白質の添加によるADHの噴霧乾燥における活性保持効果 ウシ血清アルブミン(BSA)およびラクトグロブリン(Lg)などの蛋白質およびTween80などの界面活性剤を微量添加して、ADH残存活性に与える影響を検討した。Lg、BSAの添加量が増大するほど、ADH活性残存率は顕著に増加した。しかしながら、Tween80を添加した場合は逆に減少した。 (3)ADHのPEG化 ADHとPEG化試薬をリン酸緩衝液中で反応させて、PEG化ADHを調製した。PEG化したADHの活性を測定したところ、コントロールに比較して活性は低下した。PEG化ADHを(1)と同様の手法で噴霧乾燥粒子を作製した。コントロールを用いた場合に比較してADH残存活性は低下した。今回用いたPEG化ADHは精製していないので、今後は精製後のPEG化ADHを用いる必要がある。
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