研究概要 |
PEG化カタラーゼの噴霧乾燥に関する研究を行い,以下の結果を得た. 1.マンニトールを賦形剤とするカタラーゼおよびPEG化カタラーゼの噴霧乾燥粉末化 マンニトールを賦形剤として利用することによって,入口熱風温度が60℃という低温度での酵素の粉末化が可能となった.しかしながら粉末化したカタラーゼの残存酵素活性は初期の30%以下という低い値を示した.これは,乾燥中にマンニトールが結晶となることが原因と考えられる.カタラーゼの残存酵素活性は入口熱風温度100℃において最も高くなった.マンニトールを賦形剤としたPEG化カタラーゼの噴霧乾燥粉末は,カタラーゼ粉末に比較して約2〜3倍の残存酵素活性を示した.これは、PEG化によりカタラーゼの熱安定性が向上したためと推察される,PEG化カタラーゼの残存酵素活性は入口熱風温度の増加と共に一様に減少した. 2.マルトデキストリンの添加による噴霧乾燥酵素粉末の残存活性の向上 噴霧乾燥中のマンニトールの結晶化を防止する目的で,マルトデキストリン(MD)をマンニトールに等量混合した混合賦形剤を使用し,残存酵素活性に与える影響を検討した.噴霧乾燥カタラーゼの場合,すべての入口熱風温度について混合賦形剤を使用した方が残留酵素活性は著しく増加した. 3.噴霧乾燥マンニトールの粉末X線回折 噴霧乾燥マンニトール粉末のX線回折は特徴的な多くの結晶ピークを示し,噴霧乾燥中にマンニトールが結晶化することを示した,マンニトールとMDの混合賦形剤の場合,ピーク強度は著しく低下し,MDによってマンニトールの結晶化が阻害されていることが明らかになった.
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