研究課題
ガス膨張液体(GXL)は液体溶媒に二酸化炭素などの気体を加圧することにより、非加圧時と比べて、容積が数倍までに膨張した液体であり、種々の溶質の溶解度をある程度保持しつつ、低粘性、高拡散性を有し、その特異な物性は反応や分離プロセスにおいて、環境負荷の大きな有機溶媒の代替として有望視されている。GXLは混合系(加圧ガスと液の2成分)であるので、拡散係数の測定では同一溶質について、まず、それぞれ単一成分中への拡散係数の測定値が必要である。本年度は、ガス中の拡散として、超臨界二酸化炭素中への各種溶質の拡散係数をTaylor法およびクロマトグラフィックインパルス応答法を用いて測定した。また、液相中の拡散として、Taylor法により水中における各種糖類およびアミノ酸の拡散係数を測定した。従来の測定・解析法の改良として、複数溶質の同時注入において、応答曲線が一部重なり、不完全な分離の応答曲線から、種々の溶質の拡散係数を同時に決定する方法を開発し、その理論的な有効性を示した。また、ガス膨張液体中において、拡散係数値が特異性を有するかどうかの判定方法が不明であったが、超臨界条件から液体までの広範囲な溶媒密度域で、溶媒の種類によらず、同一溶質ならば、拡散係数は温度と溶媒粘度の関数で表される流体力学的相関式で精度よく記述できることを示した。さらに、二酸化炭素+メタノール、二酸化炭素+エタノールのガス膨張液体中のポリスチレン粒子の拡散係数を光散乱法により測定した。このポリスチレン粒子の拡散係数値について、流体力学的相関式を用いて、ガスと液成分の組成による線形性が成り立つかを検証し、ガスのモル分率0.3-0.4付近で、顕著な拡散係数の負の過剰量を観測した。
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http://tora2.tamacc.chuo-u.ac.jp/Profiles/0004/0000427/pblc1.html