研究概要 |
本研究では,研究項目として(1)本特殊流動様式中に置かれた物体への粒子衝突力や物体周りの粒子・流体流れと汚れ落としの関係の検討,(2)洗浄媒体である軽量大径粒子の流動層へ洗浄排出物である泥などが混入した場合の流動層の特性の変化の検討,(3)工業化を考えた場合の洗浄排出物の効果的な排出機構の構築,などが挙げられる. 平成18年度はそのうちの,(2)の項目のうちの汚れ落としと(3)の洗浄排出物の排出手段に関して主に検討した. (2)に関して,この特殊流動層中に洗浄モデル物体を配置し,その汚れ落とし状態を運転条件との関係から調査検討した.アクリル円筒の表面に1mm厚さで焼き石膏を塗布した物体や,円筒表面に汚染布を張り付けた物体などをモデル洗浄体として,石膏の摩滅状態や汚染布の白色度の変化などから洗浄性能を評価した.石膏洗浄体の実験からは,洗浄に効果的と思われる高速域(無次元速度U/Umf>2.5)では円筒上下端で汚れ落ち度最大となり側面ではその値が落ちる,などの結果を得た.人口汚染布を用いた実験からは,結果としては,石膏摩滅度の傾向とほぼ同様の結果を得たが,この場合には特に円筒下端部での汚れ落ちが際立つといった結果を得た. (3)に関しては,まず洗浄排出物である泥などが混入した場合に本特殊流動層のメリットである水が含まれた状態でも活発な流動化が維持されるかの検討を行い,次いで洗浄媒体である軽くて大きな径のポリスチレン粒子と泥との分離が可能な構造・機構について検討した.結果として,流速が低くなり過ぎない限り,また洗浄排出物に見立てた微少重粒子(ガラスビーズ)が多くならない限り(10 vol%)流動状態は良好を維持し,一方,粒子の分離・排出には,低速域でそれが効果的となる分散板構造を特定し,設計指針として整備した.
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