研究概要 |
当該年度(H19年度)に実施した研究の成果としては、(1)本洗浄方式の有効性を実際の農産物の洗浄で実証し、併せて洗浄排出物の取り出しに効果的な装置構造を特定できたこと、(2)本洗浄方式の洗浄特性の骨子を明らかに出来たこと、の二点が挙げられる。 (1)に関しては、本特殊流動様式「液添加・軽量大径粒子流動層」中に実際の農産物(芋,生姜)を投入・設置し、表皮を傷付けない節水式の洗浄が短時間(5〜6分)で良好に達成できることを確認するとともに、流動状態の検討から洗浄排出物(泥など)の取り出しに効果的な分散板構造が特定できた。 (2)に関しては、この特殊流動様式中での物体表面の洗浄特性を明らかにするために、モデル洗浄物体であるアクリル円筒の表面に塗布し乾燥固着させた焼き石膏の摩耗量調査、同じくアクリル円筒上に貼り付けた人工汚染布の汚れ落とし評価(以上、前年度実施の実験結果をもとに)、さちには同円筒上に取り付けた力のセンサーによる粒子衝突力の測定などの結果を突き合わせ総合的に解析した。 結果として、(1)粒子衝突の効果が支配的な泥落としなどの「荒い洗浄様式」と、(2)油膜落とし、揉み洗いなど流体移動の効果が支配的な「穏やかな洗浄様式」の2種類の複合した洗浄様式から成り立っていることを明らかにした。 以上の成果より、工学の面ではこの特殊流動様式における粒子循環・運動制御に関する新しい知見を得たこと、また複合された洗浄メカニズムを特定できたことは意義有ることといえ、さらに産業・応用面ではこの特殊流動様式を利用した効果的な洗浄条件(運転条件,洗浄媒体(粒子)条件,分散板含む装置構造)を決定できたことか意義深く、実用性が高まったと考えている。
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