研究課題
基盤研究(C)
まず初年度に、金属ナノ粒子の鋳型合成と構造同定について検討を行った。メソポーラスシリカ(FSM-16、MCM-41)を担体として、細孔内で白金ナノ粒子を鋳型合成した。電子顕微鏡などの構造解析から、細孔径の大きさに対応したナノ粒子が生成していることを確認した。次に、これらを触媒に用いて燃料電池用水素中の微量CO選択酸化反応(PROX)における活性評価を行った。その結果、FSM-16担持白金ナノ粒子が、先行触媒よりもはるかに優れた活性・選択性・寿命を示すことを見出した。次年度には、PROX反応の機構研究と、オレフィン酸化反応における活性評価を行った。白金ナノ粒子/FSM-16触媒上にCOを吸着させると、気相中にCO_2が少量生成することを赤外分光法で見いだした。ここに重酸素(^<18>O_2)を加えると、CO_2中に^<18>Oは取り込まれずC^<16>O_2が生成した。さらに重水素(D_2)を導入してPROX条件にしても、C^<16>O_2生成が増大し^<18>Oは含まれなかった。以上の結果から、^<16>O源として担体の酸素がCO酸化に使われることが示唆された。従って、担体上の表面OH基が白金上のCOを攻撃して二酸化炭素と水素を生成する機構であると結論した。また、PROX反応触媒中における白金担持量の低減化を試みたところ、空間速度などの反応条件の最適化によって白金量を0.5〜1重量%にしてもCO完全除去が可能であることを見いだした。さらに、メソポーラスシリカ内に白金、パラジウム、銀のナノ粒子をそれぞれ合成し、エチレンの酸化反応を室温から200℃で検討した。酸素の転化率は100%であったが、エチレンは完全酸化によりCO_2となり、エポキシドなどの有機化合物の生成は認められなかった。従って、選択酸化のためには系中で過酸化水素を発生させる助触媒が必要であると推論した。
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