研究課題
基盤研究(C)
通常のメタノールの水蒸気改質反応では、水素と二酸化炭素の生成にともなって高濃度の一酸化炭素が生成する。そのために固体高分子型燃料電池への水素供給システムに用いる場合、一酸化炭素濃度の低減のためにCOシフト反応を行う必要があり、コンパクトなシステムの構築が難しい。本研究で行った液相改質反応の場合、メタノール水溶液中に懸濁した固体触媒上で改質反応が進行し、副生する一酸化炭素濃度が極めて低くなるという特徴を有している。また本法式では水の気化にかかるエネルギーを節約できるというメリットも有している。本研究では、このメタノールの液相改質反応に対して高活性を有する触媒の探索を行い、メタノール液相改質反応機構と触媒の高活性発現の要因を明らかにすることを目的とした。本研究で作成した反応装置を用いて種々の担持8-10族金属触媒の活性を検討した。その結果、酸化アルミニウムや酸化チタン上にモリブデンや鉄等の酸化物モノレイヤーを形成した後に、白金やイリジウムを担持した触媒が非常に優れた触媒活性を示すことを見出した。メタノールの液相改質反応では水の活性化が重要と考えられるが、本研究における動力学的検討と分光学的な検討から、酸化物担体上に形成された添加遷移金属のモノレイヤー上で吸着水が活性化され、貴金属上で一部脱水素されたメタノールを効率的に酸化するため、これらの触媒が高活性を示すことが明らかとなった。
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