研究概要 |
本研究は,より水熱安定性の高いSi-Cで結合した有機基でMCM-41表面を有機修飾することを目的に,表面にSi-H基を導入したHSi-MCM-41を合成し,これと末端オレフィンとのヒドロシリル化反応により,MCM-41表面に様々な有機基の導入を試みた。本手法は,表面シラノール基に対し1:1で有機基を導入することが出来るため,MCM-41表面をより高密度に有機修飾できる可能性もある。今回,HSi-MCM-41とスチレンとのヒドロシリル化反応を行い,フェニルアルキル基を導入し,硫酸処理してスルホ基が置換したHSO_3-Ar-C_2H_4-MCM-41の導入を行った。さらにHSO_3-Ar-C_2H_4-MCM-41のイオン交換容量,水熱安定性,およびエステル化反応に対する触媒活性を検討した。 まずIRでそれぞれ,2250cm^<-1>のSi-H基,2800〜3100cm^<-1>付近のC-Hおよび1400〜1500cm^<-1>のフェニル基,さらに1300cm^<-1>のS=0基に由来する吸収が観測され,HSi-,Ph-C2H4-ならびにHSO3-Ar-C2H4-MCM-41の合成を確認した。次にHSO_3-Ar-C_2H_4-MCM-41を,323Kの水で処理した後の酸性基残存率を測定した。その結果,シランカップリング法を経て導入した有機酸性基は,2hで既に約20%,12hでは40%以上遊離しているのに対し,本実験法で導入した有機基の遊離は,6hでも約15%であり,この値は24h後でも変わらなかった。このことは,当初予想していたとおり,ヒドロシリル化で導入した有機基はMCM-41表面とSi-C結合しているため,高い水熱安定性を有していること示唆する。
|