研究概要 |
1)ニューラルネットワーク制御因子解析システムの試作と試用 前年度までに結合値法および偏微分法制御因子解析システムを試作し、代表的な触媒活性構造相関データを例として、互いに遜色のない性能を持つことを確認した。本年度においては、モデルデータを用いて、より複雑な系への適用性を検討し、結合値法制御因子解析システムの適用性が比較的単純な系に限定されるのに対し、偏微分法制御因子解析システムにはそのような限界が認められないことを確認した。また、適用範囲の拡大のために、RBF型ニューラルネットワークによる偏微分法制御因子解析システムを試作し、性能を確認した。 2)アナターゼ型固溶体の合成と光触媒活性の評価 水熱法によりニオブともう1種の金属元素(Ga, A1,Sc)をドーピングしたアナターゼ型酸化チタンを直接合成し、ドープ剤の組成や水熱合成条件が固溶体の結晶相、粒子形態、バンド構造変化などに与える影響ついて検討した。さらに、代表的なアナターゼ型固溶体を用いて、メチレンブルーの光触媒分解反応を行い、基本的な光触媒性能を評価し、上で測定した構造パラメータ等との相関を検討した。しかしながら、実験的研究者の解釈とニューラルネットワークによる解析結果は、必ずしも一致しなかった。この不一致について、さらに検討を進めた結果、ニューラルネットワークでは触媒調製過程における実験者の個人差を考慮できなかったこと等が原因であることが判明した。
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