研究概要 |
ポリ乳酸やポリカプロラクトンなどの生分解性ポリエステルは,環境中及び生体内で分解されることから,近年ますます,注目されるようになってきている。研究代表者は平成14年度から,米国テキサス大学工学部化学工学科D.Rロイド教授とともに多孔質化による生分解性ポリマーの高機能化と多孔質化した生分解性ポリマーのバイオプロセスにおける高度な利用法の開発研究に取り組んでいたが,生分解性ポリエステルのポリマーブレンドを用いることにより,新たな内部構造をもつ生分解性多孔質膜を作製することに成功した(T.Tanaka, et al.,Desalination,193,367-374(2006))。 本研究は,上記の研究を発展させて,生分解性ポリマーブレンド多孔質膜の内部構造を制御して高機能化し,バイオプロセスに利用することを目的として進めている。初年度である本年度は,ポリ乳酸とポリカプロラクトンのポリマーブレンドについて種々の混合比のポリマーブレンド溶液の相分離挙動を観察し,さらに熱誘起相分離法により各種生分解性ポリマーブレンド多孔質膜を作製した。並行して生分解性ポリマーブレンド多孔質体内でのヒト肝細胞HepG2の培養を検討した。 生分解性ポリマーブレンド濾過膜の研究に関して,2006年8月に日本食品工学会第7回年次大会にて「生分解性ポリマーブレンド多孔質膜による濾過分離」という演題で研究発表を行ったところ,優秀発表賞を授与された。また,アメリカ化学工学会(年会,2006年11月,サンフランシスコ)にて"Depth Filter Membranes of Biodegradable Polyesters"という演題で口頭発表を行うとともに関連する研究分野の情報収集を行った。
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