研究課題
基盤研究(C)
本研究では、イネのシステインプロテアーゼインヒビター(CPI)の網羅的な解析とヒト病原菌に対する抗菌活性の解明を目的とした。本年度において得られた成果は、以下のようにまとめられる。1.イネ(『コシヒカリ』)のカルスから、シスタチンスーパーファミリーに属する新規CPI(オリザシスタチンII)の遺伝子をクローニングし、その発現産物のCP阻害プロフィールが既知CPI(オリザシスタチンI)とは明らかに異なること、N末端領域でプロテアーゼ消化を受けやすいこと、ならびに、その酵素親和性の違いに14番目のグリシン残基近傍のアミノ酸配列が大きく影響することを見いだした。2.オリザシスタチンIIと同様にして、オリザシスタチンXIIを組み換えタンパク質として取得できた。各種プロテアーゼに対する阻害活性は、オリザシスタチンIおよびオリザシスタチンIIとは異なっていることを明らかにした。3.生菌数を測定する寒天平板混釈法および濁りによって生育を測定するマイクロタイタープレートを用いた濁度法を開発し、米由来タンパク質のヒト病原菌に対する抗菌活性を測定するためのバイオアッセイ系を確立した。4.米糠タンパク質の有効利用について検討する過程において、硫安分画した米糠タンパク質画分に、歯周病菌Porphyromonas gingivalisの増殖を阻害する活性が存在することを、上記のバイオアッセイ法を用いて新たに見いだした。また、P.gingivalisのLys-ジンジパインとArg-ジンジパインを強く阻害する活性を、米糠タンパク質画分と精白米のタンパク質画分においてそれぞれ検出できた。
すべて 2007
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J. Agric. Food Chem., (印刷中)