胚様体(emblyoid body : EB)は、胚性幹細胞(ES細胞)から特定の細胞種をin vitroで分化誘導する場合に、その中間段階で形成する球形の細胞塊である。本研究は、このEBの規格化をめざし、種々の方法で形成されたEBの特徴付けを行うものである。すなわち、形成されたEBにおいて発現している特徴的遺伝子の解析を行う。 (1)種々の規格のEBを作成 EB形成容器、播種細胞数、EB形成の期間、酸素条件、栄養条件等を変化させて、さまざまな規格のEBを形成させた。すなわち、最も一般的なハンギング・ドロップ法によって作成したEB、96-well丸底プレートにより作成したEB、コニカルチューブで作成したEBである。96-well丸底プレートにおいては、EB形成に用いる初期細胞数も変化させた。 (2)EBの遺伝子解析(RT-PCR法による解析) (1)で作成したEBにおいて発現する転写因子をRT-PCRにより解析した。解析した転写因子は、未分化性の指標となる、Oct3/4、及び分化進行の指標となるGATA4である。EBの形成条件により、Oct3/4発現の減少とGATA4の増大のパターンに違いがみられたが、EBを明確に特徴付けるには不十分であった。各種EBからの心筋分化の様子を調べたところ、心筋発生効率に顕著な差がみられたので、心筋関連の転写因子をRT一PCRで解析した。 (3)EBの規格化 形成法が異なると、EBの形態はその大きさにおいて明確な違いがみられた。また、心筋発生効率にも顕著な差がみられた。しかし、RT-PCRの結果からは、EBを特徴付けるための十分な情報は得ることができなかった。 (4)次年度の研究計画 EBにおける遺伝子発現を定量的に解析するためにReal-Time PCRを行い、そのデータをもとにEBの規格化を行う。
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