研究課題
トランスジェニックニワトリの血清・卵白よりブルーセファロースにて部分精製したエリスロポイエチンのin vitroの生理活性を測定した。精製前は他に比べ数十倍の比活性のあった血清由来エリスロポイエチンは、精製後卵白及び市販のエリスロポイエチンと同程度の活性を示した。次に付加糖鎖を脱離させる酵素で処理し、活性に与える影響を検討した。その結果、血清由来及び市販のエリスロポイエチンはシアリダーゼ処理及びβ-ガラクトシダーゼ処理により活性の上昇が見られた。一方、卵白由来のエリスロポイエチンにおいては変化が認められなかった。さらに、N結合糖鎖を除去するグルカナーゼ処理により、いずれも同様に活性が低下した。ニワトリcDNAより3種のシアル酸転移酵素をPCR法によりクローニングし、昆虫細胞用タンパク質発現ベクターに組み込んだ。昨年度構築した3種のガラクトース転移酵素発現ベクターとともに、昆虫細胞に遺伝子導入し安定発現細胞株を樹立した。得られた細胞株の培養上清中に、シアル酸転移酵素、ガラクトース転移酵素ともに生産が確認できた。今後、生産させたタンパク質の活性測定を進める必要がある。また、シアル酸含有タンパク質の体内動態は、細胞が有するシアル酸結合タンパク質によっても影響を受ける。そこで、主に免疫系の細胞表面に存在するシアル酸結合タンパク質シグレックと呼ばれるレクチンに着目し、シグレックがマクロファージに対して抗炎症効果を発揮していることを明らかとした。
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Biochem. Biophys. Res. Commun., 369
ページ: 878-883