研究課題
基盤研究(C)
ヒトエリスロポイエチンの遺伝子を導入して作製したトランスジェニックニワトリにおいては、卵白及び血清中で高い生産が認められた一方、卵黄では蓄積は認められなかった。ウエスタンブロット解析により、卵白中のエリスロポイエチンの移動度は血清由来及び市販エリスロポイエチンよりも大きいことが認められた。ブルーセファロースを用いた精製により、50%程度の回収率で頬雑タンパク質を十分の一程度まで減少させることが可能であった。精製前は他に比べ数十倍の生理活性のあった血清由来エリスロポイエチンは、精製後卵白及び市販のエリスロポイエチンと同程度の活性を示した。次に付加糖鎖を脱離させる酵素で処理し、活性に与える影響を検討した。血清由来及び市販のエリスロポイエチンはシアリダーゼ処理及びβ-ガラクトシダーゼ処理により活性の上昇が見られた。一方、卵白由来のエリスロポイエチンにおいては変化が認められなかった。ニワトリ糖鎖転移酵素遺伝子のうち3種のガラクトース転移酵素遺伝子及び3種のシアル酸転移酵素をクローニングし昆虫細胞用タンパク質発現ベクターに組み込んだ。この際に、アミノ末端に存在するゴルジ体への局在ドメインをミツバチ由来の分泌シグナル配列であるメリチン配列と置換した。いずれの酵素においても、昆虫細胞に遣伝子導入し得られた細胞株の培養上清中にタンパク質の生産が確認できた。今後、生産させたタンパク質の活性測定を進める必要がある。また、シアル酸含有タンパク質の体内動態は、細胞が有するシアル酸結合タンパク質によっても影響を受ける。そこで、主に免疫系の細胞表面に存在するシアル酸結合タンパク質シグレックと呼ばれるレクチンに着目した。シグレックがマクロファージに対して抗炎症効果を発揮していることが明らかとなった。
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Biochem. Biophys. Res. Commun., 369
ページ: 878-883
Biochem.Biophys. Res. Commun 369