研究代表者が考案したミオグロビンの構造変化を利用して抗酸化性を測定する方法および3つの異なるラジカルに対する抗酸化性をレーダーチャートに表す方法について、平成18年度に標準的な抗酸化性物質を用いてそれらの有効性を示した。平成19年度には、PETボトルで市販されているお茶飲料に適用して、本方法の有用性を検討した。PETボトル飲料としてはお-いお茶、ヘルシア緑茶、黒烏龍茶、蕃爽麗茶、フラバン茶をもちい、ティーバックのお茶として、緑茶、リプトン紅茶などを用いた。これらの結果をポリフェノール、カテキン、エピガロカテキンがレートなどの標準抗酸化性物質と比較検討した。 ポリフェノールはDPPH、次亜塩素酸イオン、ヒドロキシラジカルの3つのラジカルに対して比較的高い抗酸化性を示した。カテキンやエピガロカテキンでは次亜塩素酸イオン、ヒドロキシラジカルに対する抗酸化性はDPPHに対する抗酸化性に比べると小さかった。市販のお茶飲料の示す抗酸化性パターンはその主成分であるポリフェノールに類似したパターンであった。また、高濃度で茶カテキンを含むヘルシア緑茶は5倍に希釈した試料で通常のお茶と同じ抗酸化性強度を示すことがわかり、本方法は定量的にも優れた方法であることが示された。 以上のように、本研究で確立したミオグロビンタンパク質の構造変化を利用した方法は定量的に次亜塩素酸イオン、ヒドロキシラジカルに対する抗酸化性を評価できることが実証された。また、従来法であるDPPHラジカルに対する抗酸化性とあわせて、レーダーチャートに表示することで測定試料の抗酸化性の特徴もあわせて総合的に評価できることが明らかにされた。今後、種々の食品成分に適用することで、簡便に抗酸化性を示す食品をスクリーニングできると同時にその特徴も明らかにできると期待される。
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