研究概要 |
二酸化炭素分離濃縮に関して、ゼオライトを用いた吸着を想定している。ゼオライトは多孔質の物質で、二酸化炭素と水にたいして優れた吸着性能を示す。すなわち、0.035%-0.4%程二酸化炭素が含まれている雰囲気をゼオライトが充填されている吸着塔に送り込む。しかしながら雰囲気をそのまま吸着させると二酸化炭素を吸着する前に水分を吸着してしまう事が分かっている。通常は吸着塔の前段に冷却式の乾燥機を取り付けるのであるが、微小重力場では冷却面に結露した凝縮水が落下しないためそのまま用いることはできない。 そこで固体高分子電解質膜を利用した乾燥機を用いる事を発案した。この装置は空気中の水分を電気分解し除湿する物である。すなわち、陽極側では外部電力により水が電気分解され式(1)の反応がおこり湿度が低下する。 2H_2O→O_2+4H^++4e^-(1) O_2+4H^++4e^-→2H_2O(2) その際に発生するプロトン(H^+)は固体電解質膜を通り、電子(e^-)は外部回路を通って陰極に達し、式(2)の反応により酸素を消費して水を発生するのでこの水は室内に戻し除湿された分を補填する用にする。 H18年度は、二段式水蒸気水電解装置の単体性能把握した。即ち、固体高分子膜を用いた水分解装置から生成された、酸素と水素を二段目の水電解装置を用いて乾燥させた。水蒸気量低減効果を確認した。露点は89℃から61℃となった。 ロシアのクラスノヤルスクで開催された「Closed Life Support Systems Dev. for Human Survival under Extreme Conditions」に参加した。空気中の二酸化炭素を濃縮し酸素を生み出す技術は主に宇宙空間における先端的な生命維持技術として研究されてきた。米国NASAのエイムズ研究所に所属するDr.Mark Klissをリーダーとするグループは二酸化炭素の除去技術および空気再生技術に取組んでいる。火星の1/100気圧CO2 95.3%の大気を利用して酸素を生産する技術を研究している。日本の青森県六ヶ所村にある環境科学研究所では2人の人間が6ヶ月間空気・水・食料を循環させて生命を維持することを目指した大規模な設備があり、空気再生を行っている。NASA,ESA,ロシアの先端的生命維持技術の研究者コミュニティーと連絡をとり情報交換した。
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