研究概要 |
空気再生サブシステムにおいて生成した水を電気分解するための微小重力対応型水電解装置を試作した。水電解セルは、恒温槽の中に水平方向に設置した。水平設置した理由は、電解セル内で液滴となった水が導入用のパイプに戻って行くのでセル内が水蒸気のみで満たされるようにするためである。水電解セルの大きさは高さ10cm、横19cmで電解面積は190cm2である。本水電解装置は、発生酸素を二段目の水電解セルに導入し水電解を利用して湿った生成酸素を乾燥させるようにしている。湿った気体が陽極に触れると水電解されて水は酸素になる、水素イオンは固体高分子電解質を透過して陰極側に移動し酸素と反応して水となる。下段セルの水蒸気量が少ないことから水電解を応用した乾燥機が有用であることがわかった。 通常型の水電解セルでは2個のセルで一日に600Lの酸素を発生させる事が可能であるが、微小重力対応型では1/3程度の酸素発生量であった。微小重力対応型水電解セルの最大の電流密度は60[mA/cm2]程度であった。これは、一番目の膜を通過した水蒸気が二番目の電解膜に到達するまで拡散律速になるためであると考えられる。試験管に水をいれナフィオン膜で封入した。試験管の膜を上方向にしたものと、膜を下方向にしたものそれぞれを用意して一日間放置した。膜を下向きに放置したものは膜と水が直接触れているので、膜を上向きに放置したものよりも透過量が大きかった。温度上昇とともに、水の透過量は大きくなることがわかった。ナラィオン膜は試験管内部に凸の形になっていた。これは水のみがナラィオン膜を透過して、試験管内部が陰圧になるためと考えられる。第一膜と第二膜の距離は0.5mm,1mm,2mmの3種類である。第一膜から第二膜へ水蒸気は拡散で移動するため、ナラィオン膜の距離が大きくなると水分の供給が不足し、臨界電解電流が小さくなる事がわかった。
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