新型(ヘリカル型)海流MHD水素発生器の基礎特性を明らかにするために、本年度は水素発生器の最適形状、水素発生器の電極材料、水素の超伝導MHD分離法等について調べた。得られた成果は、次のとおりである。 1.海流MHD水素発生器の最適形状の解明 発生起電力を上げるためには、海水の流体損失を低減し流速を増加させることが重要である。そのためには、回転数、ピッチ、電極直径等を含む水素発生器の形状を最適化する必要がある。そこで、これらの形状をパラメータとしたヘリカルモデルを作製し、圧力分布及び流体損失を測定した。その結果、流体損失に対する回転数依存性、ピッチ依存性等が明らかになった。 2.海流MHD水素発生器用電極の検討 海流MHD水素発生器から水素ガスと同時に電解生成物も発生するため、これにより電極が劣化する。そこで、劣化が抑えられる最適電極を選定するために、各種電極を用意して電流・電圧特性及び耐久性等を調べた。その結果、等方性黒鉛電極が最適であると判断した。 3.超伝導MHD分離法による採集実験 海流MHD水素発生器から発生する水素ガスは、海水の流れに伴って移動するため、有効な採集方法等を確立する必要がある。そこで、独自に考案した新規な超伝導MHD分離法に基づき、分離装置を試作して分離・採集特性等を調べた。水素ガスを模擬した高分子粒子を対象として、10Tの磁場下で分離・採集実験を行ったところ、電流下向きより上向きの方が分離・採集率が少し高いことがわかった。しかし、計算値に比べて実験値はまだ小さく、分離装置の改造が求められる。
|