研究概要 |
本研究は,構造部材に働くひずみに関する情報に加えて,曲げや座屈損傷などにより構造部材が局部的に大変形した場合にその変形の程度を一つのセンサで検知する複合センサを開発することを第一の目的とし,センサの情報を収録し,警報を発する信号処理装置をネットワーク接続し,複数のセンサ情報をモニタリングして遠隔診断を可能とするセンサシステムを開発することを第二の目的としている. 初年度である平成18年度は,CO2レーザー加工機を導入し,高分子圧電フィルムを自由な形状に切断し,必要な電極を成形加工するための基礎的な検討を行った.検討の結果,高分子圧電フィルムをはじめ,センサに使用する素材の切断方法,および,圧電センサの機能を決定する表面電極を形状加工するための方法を確立した.本成果を基に測定性能が均一な曲げ変形センサを製作することができることを実験で示した.以上,本年度の研究により一枚のフィルム上に複数のセンサを有する複合センサを開発するための基盤技術を獲得した. また,電荷増幅回路および改良型電圧増幅回路など,高分子圧電センサに適した信号処理回路を設計製作し,実験を通じてセンサの測定性能を確認した.さらにセンサにより取得した情報を保存し,遠隔地に転送するための回路について予備調査を行い,本研究の目的に適したマイクロコンピュータおよびシステムの選定を行った. 平成19年度は本年度の成果を踏まえて複合センサ形状の決定と性能検証を行うとともに,計測結果を遠隔地に転送するためのマイクロコンピュータシステムの開発を中心に研究を実施する.
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