1.YAMAHA-21Sクラスの実艇を用いた海上試験 平成15年に琵琶湖で転覆沈没事故を起こした、YAMAHA-21Sクラスの同型艇を用いて海上試験を実施した。まず実艇のローリング特性を測定し、これによってセールを展開している時はローリングに対するダンピング効果がかなり大きいことを明らかにした。次いで帆走時の操縦運動特性を測定し、タッキング時の回頭角とローリング角との関係を明らかにした。これらは平成19年度に行う船体運動シミュレーションとの比較用の重要なデータとなる。 2.YAMAHA-21Sクラスの1/5.8模型を用いた風洞試験 風洞装置に水槽を組合せ、YAMAHA-21Sクラスの1/5.8模型を用いて風洞試験を行い、風速とローリング角の関係を明らかにした。特に回頭速度の影響を明らかにするため、あらたに模型旋回装置を製作し風洞装置に設置して実験を行った。その結果、回頭速度とロール角の間にある程度の相関があることがわかった。また、セールのローリングに対するダンピング効果を模型レベルでも確認することができた。 3.YAMAHA-21Sクラスの1/5.8模型を用いた回流水槽試験 同上の模型を用いて回流水槽試験を行い、流速(フルード数)がローリング運動に与えるダンピング効果の大きさを明らかにした。船体の流体力微係数などを求める実験は、模型支持装置をあらたに製作する必要があるため平成19年度に実施する。 4.数値計算による帆に作用する流体力の算定 セールに作用する流体力が動復原力に与える影響を数値的に求めるために、渦格子法を用いた基礎的な計算手法を確立した。YAMAHA-21Sクラスのセール形状に準じた格子を制作し、ローリング運動時の流出渦の時間的な変動を求めることができるようになった。平成19年度に本計算手法の精度を高め、種々の条件の下で計算を行う。
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