1.気乾状態の来待砂岩を12.3MPaの軸応力で1分、または、10分先行載荷した後、いったん徐荷し、試験機から取り外し、0.3〜20.8MPaの4サイクルの繰り返し載荷を行った。繰り返し載荷時における1サイクル目の接線ヤング率には、先行載荷応力よりもやや小さい応力でではあるが、2サイクル目に比べて明らかな屈曲点が認められ、接線ヤング率法の適用が可能なことを確認した。ひずみ差関数にも屈曲点が認められ、DRA法によっても先行応力の推定が可能なことが確認された。クリップゲージに基づく記憶時間は、1分、10分の先行載荷に対して1ヶ月覚えていることを確認した。 2.側圧の影響について検討した。封圧0〜20MPa、軸応力12.3MPaの下で1分間先行載荷した供試体を5分後に0.3〜20.8MPaの一軸繰り返し載荷に供した。筆者の開発した超小型三軸セルを用いたので軸圧より封圧が大きい場合の応力径路も簡単に実現できた。先行載荷時の封圧が大きいほど屈曲点応力値は小さくなり、両者の関係はほぼ直線で近似できた。 3.先行載荷時の封圧と繰り返し載荷時の封圧を変えて試験を行った。繰り返し載荷時の封圧が大きくても小さくても屈曲点の応力値が減少することが明らかになった。 4.含水飽和状態で先行載荷した供試体を含水飽和状態で、あるいは、自然乾燥させて繰り返し載荷を行った。前者には接線ヤング率法が適用できたが、後者では先行載荷応力を正しく読み取ることが極めて困難であった。
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