研究概要 |
地球温暖化防止および化石燃料資源の枯渇問題上からも、再生可能なバイオマス、とりわけ、膨大な蓄積を誇りカーボンニュートラルな木質バイオマスが注目されている。北海道の森林では、下層植生としてササが広く分布し、その蓄積量は、乾重量で7,500トンと推定され、これは道内の林木蓄積の約28%、我々の調査でも道内の木質バイオマス賦存量の半数に相当している。資源基盤の脆弱なわが国において、ササは魅力的な未利用木質バイオマスであるが、現在、ササ茶等の健康食品、手漉き和紙原料、農作物の支柱などに利用されているものの、資源の大半は利用のままである。 本研究では、道内に広く分希するササのエネルギー的活用の一環として、ペレットストーブや小型ボイラー用のペレット成型を初めて試み、その成型条件と特性について、明らかにした。特性としては、含水率、密度、かさ密度、という物理量の他、機械的強度も測定した。燃料として重要な、総発熱量と工業分析も得た。また、ササの葉を原料に混入した場合の特性も明らかにした。次に、寒冷な冬季の気候で知られる北見市内の戸建住宅に設置したペレットストーブでの燃焼実証試験を行った。ササのバイオマスとしての利用において、利用可能量とコストを評価することは重要だが、平成18年度から、国有林オホーツクの森において、クマイザサの再生力に関するフィールド調査を実施、その経過報告をした。それによれば、刈り払い後のクマイザサは、二生育期経過後では、林外では半数程度回復するが、トドマツやカラマツの林床での回復は大幅に遅れることが明らかにされた。なお、道内では、将来的な木屑の不足が予想されていることから、本研究の先見性、今後の成果が注目されている。
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