研究概要 |
本研究では,周波数領域検層法に寄与する孔内モードのストンリーモードに着目し,き裂を挟むように発信器と受信器を配置した状態で記録した実験データから,ストンリーモードの透過係数と反射係数をできるだけ広い周波数帯域(0〜8kHz)で求めた.孔口圧(き裂の開口幅)をパラメータとして,透過係数と反射係数の変化を調べると,透過係数は透水層で囲まれたき裂の開口に対して感度が適度に見られるが,反射係数の感度は小さく実用的でないことが解った。 0〜8kHzの帯域で見られる透過係数の特徴として,2.3kHzで最大となるオーバーシュート(1よりも大きくなる)とその振動を挙げることができる。ただし,6〜8kHzでは孔口圧とともに減少することが確認できた。プレーンフラクチャーモデルとパーミアブルゾーンモデルを用いて,これらの現象を検討したが,いずれのモデルでも説明できないことが解った。 両モデルの問題点は,流体中の波動伝播を扱っているにもかかわらず,発信器と受信器がき裂を挟む位置にあるとき反射波は受信器に達しないとしている点にあると考え,本研究では受信器は透過波と反射波を共に受信していると仮定し,改めて,両モデルで透過係数に現れた現象を検討した。その結果,透過係数のオーバーシュートは,パーミアブルゾーンモデルで定性的に説明できるが,オーバーシュートの大きさは説明できないことが解った.また,オーバーシュートの振動周期に着目することで,パーミアブルゾーンの厚さを評価できることが解った.
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