研究概要 |
マルチプレット・クラスタリング解析法を基礎にした地下き裂システムの透水性評価法を開発することを目的として,本年度は,AEマルチプレット・クラスタリング解析のソルツフィールド(フランス)データへの適用を行い,その結果を,検層データ等と比較検討を行った.本年度得られた成果を以下に記す. 1.AEマルチプレットとき裂透水性を関係付ける物理量とパラメータの特定 AEマルチプレットのメカニズム解析から推定できる震源面積の拡大量は,透水き裂ソーンの拡がりと関係があることがわかった.また,透水き裂形成速度とモーメントマグニチュード累積値との関係を明らかにし,マルチプレットに着目することにより,透水ソーン形成と透水性評価を行える 可能性があることを示した. 2.坑井内検層データの精査とモデル構築による貯留層内透水性き裂領域形成プロセスの検討 AEマルチプレット・クラスタリング解析を基礎にして,貯留層内き裂の臨界間隙水圧とその分布,貯留層内圧力伝搬方向や伝搬速度,圧力勾配等の評価を行い,坑井内検層データと詳細に比較した.その結果,マルチプレット・クラスタリング解析による臨界間隙水圧推定法により,臨界間隙水圧分布を調べることにより,透水き裂ソーンの構造と形成速度だけでなく,貯留層内の間隙水圧上昇の様子とき裂内流体圧力の減衰の様子を推定できることがわかり,マルチプレット・クラスタリング解析をもとにした臨界間隙水圧推定法の有効性が示された.
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