各地の泥質堆積物処分地等からの浸出水について水質分析を行い、浸出水水質の実態を把握した。泥質堆積物のカラム式溶出試験結果を熱力学解析により再現し、溶出モデルを構築した。また、仮想的な残土処分地における溶出現象をシミュレーションし、効果的・経済的残土処分法を検討した。結果は以下のとおりである。(1)泥質堆積物を埋め立てた処分地等からの浸出水を分析した結果、埋め立て後数年は浸出水の溶存イオン濃度が高く、電気伝導率(EC)も大きな値を示し、泥質堆積物からの溶出現象の進行が推定されるが、年数を経過するとイオン濃度や電気伝導率が低下し、泥質堆積物からの化学種の溶出量が減少することがわかった。(2)カラム式溶出試験により、水の流れのある場における溶出現象を把握した。さらに、黄鉄鉱、斜長石、方解石および石膏の溶出をモデル化した熱力学解析により、カラム式溶出試験における溶出水のpHやイオン濃度あるいは電気伝導率の時間的変化を再現できることがわかった。(3)モデル化した溶出条件を用いて、仮想残土処分地の浸出水の水質の時間変化について熱力学解析を行い、黄鉄鉱の反応終了時期を推定できた。
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