本研究では、グリーン・サービサイジング(モノを所有するのでなく、その機能を利用する方が、より環境親和度が高いビジネスモデル)に関して、そのサービスを受ける側の立場から、その受容性の検討を行った。また、グリーン・サービサイジングが、いわゆる企業のビジネスモデルとしてだけでなく、それぞれの地域内でモノを循環させるしかけとしての有効性も検証した。更には、グリーン・サービサイジングという考え方を、国内外に情報発信を行った。 まず、グリーン・サービサイジングの受容性であるが、2002年から家電をリースで利用しているリースモニター79名に対して、リース期間が終了する直前にアンケートで確認した。家電に限らず日常の暮らしの中で使用するモノを所有するのでなくリースで利用することに関して、ユーザのニーズは高いことが判明した。特に所有しなければ、必要がなくなった時に返却できること、故障の際の安心感などへの共感が多かった。但し、家電など毎日利用するものに関してはこだわり、所有意識が高い人もあり、機能を利用に関しては、意見が分かれた。家電を所有でなく機能利用にシフトしていくには、製品のデザイン時からそのコンセプトを盛り込んでおかなければならない。 また、地域資源循環を促進するグリーン・サービサイジングに関しては、長野県飯田市において、ペレットストーブによる農家向け熱供給サービスを具体的な事例として、その事業を実験的に進める中で、可能性・有効性を検証した。熱を供給するというサービスの核に、地域の色々なセクター(森林、工業、農業、市民、自治体など)を結ぶ役割を担うミドルマンの存在が、事業の成功の鍵を握っている。ミドルマンのコーディネートのもと、グリーン・サービサイジング事業を通して、地域の地産地消を促す取り組みが可能である。
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