研究課題/領域番号 |
18560789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永田 晋二 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40208012)
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研究分担者 |
土屋 文 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90302215)
藤 健太郎 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40344717)
四竈 樹男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30196365)
山本 春也 日本原子力研究開発機構, 高崎量子応用研究所, 研究副主幹 (70354941)
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キーワード | プラズマ対向材 / 再堆積層 / スパッタリング / タングステン / 水素同位体 / 酸化物 / イオン照射 / 光学的性質 |
研究概要 |
ArガスとO_2ガスを用いたRFプラズマ中でタングステン酸化物薄膜を作成し、成膜時の酸案分圧および基板温度による堆積膜の構造・組成、水素取り込み特性への影響をしらべ、さらに堆積酸化膜の光学的特性と水素濃度変化の同時測定を行った。 酸化タングステン膜は、金属タングステンターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタ法により、酸素とアルゴンの混合ガス雰囲気中でシリカガラス基板上に作成した。基板温度は室温から700℃まで、酸素分圧を0〜80mPa、アルゴン分圧を40〜280mPaの範囲に設定し製膜を行った。薄膜の結晶構造はX線回折により決定し、タングステンおよび酸素の組成はラザフオード後方散乱法用いて評価した。膜中の水素の深さプロファイルは反跳粒子検出法により定量し、さらに光学的特性変化を試料面からの反射光強度を検出することによりその場測定した。 Arガスに対して酸素ガス分圧を変化させた場合、酸案分圧がArに対して15分の1程度で膜中の酸素量が急激に増加し、それ以上の酸素分圧で均一なWO_3組成を持つ膜が形成される。WO_3膜堆積時の基板温度が室温から約400Kでは非晶質の構造を示すが、400K以上では、基板垂直方向に<001>軸が配向するmonoclinic WO_3膜が形成された。WO_3膜中には水が深さ方向にほぼ一様に分布し、膜堆積時の基板温度が高いほど、堆積後室温で測定した膜中水素濃度は高く、最大H/W=0.8に達する。高温で作成し、配向性が高い酸化タングステン膜にパラジウムを蒸着した試料を水素ガスに暴露した直後、また、空気にさらした直後に反跳粒子検出法によって膜中の水素濃度を調べた結果、それぞれのガス暴露によって水素濃度は増加・減少する様子が観察された。さらに、光吸収特性が膜中水素濃度と連動して変化する様子が見られた。一方、製膜時の基板温度の低いWO_3膜では、水素ガスおよび空気暴露による水素濃度変化および光吸収特性変化は起こりにくいことがわかった。
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