研究課題/領域番号 |
18560792
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
乗松 孝好 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (50135753)
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研究分担者 |
中井 光男 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 准教授 (70201663)
古河 裕之 (財)レーザー技術総合研究所, 研究員 (70222271)
長友 英夫 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 准教授 (10283813)
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キーワード | 液体壁核融合炉 / アブレーション / エアロゾル |
研究概要 |
将来のレーザー核融合炉の有力候補に第一壁に液体金属(LiPb)を用いた液体壁核融合炉がある。この構造炉の一つの課題はターゲット照射後、第一壁から蒸発した液体金属が飛行中に凝縮し微粒子(エアロゾル)となり、ターゲットや最終光学系に付着し、本来の設計性能が発揮できなくなる恐れがある点である。本研究は液体金属が蒸発し、微粒子となり飛行する現象を薄膜Pb放電加熱により再現し、その後のエアロゾル形成過程を実験的に把握し、シミュレーションと比較する事を目的としている。 実験では幅5mm、長さ(放電方向)10mm、厚さ10μmリボン状の鉛ターゲットをガラス基盤上に作り、放電によって加熱する。ガラス基盤は実用炉で蒸発せずに残る成分に対応する。鉛の飛散物の方向分布の測定、その前提条件となる放電の一様性、プラズマの温度測定を行い、蒸発源の特性を調べると共に、エアロゾルの補足を行い、シミュレーションとの比較ができるようにした。 蒸発源での温度分布を測定した結果では、電流の流れる方向には電極保持部が特に高温になるが、その直交方向での温度のばらつきは少なく、温度3000から4000Kのほぼ一様な放電路が形成されていることが分かり、直交方向の平面内での方向分布の議論が有効であることが確認された。測定した方向分布はほぼ1/cosθに比例し、放電内で十分な衝突が繰り返されていることを暗示している。この結果は、α粒子の加熱効果に見られる温度分布を持ったアブレーション過程での方向分布の議論のベースとなる。 補足したエアロゾルの直径は30nmから100nmで、この結果は実験条件下のシミュレーションと一致する。本実験では滞留する金属蒸気により基盤上で微粒子が成長する様子が見えるので、さらなる検証が必要である。
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