研究概要 |
リジッド導体と間接冷却法の採用を条件にして,導体と巻線構造の最適設計を行った。その結果,アルミニウム合金をジャケットとして複合化した撚線導体(アルミ合金複合化導体)が,間接冷却方式マグネットの導体候補として有望であることがわかった。この導体を用いた核融合炉用超伝導マグネットを実際に設計し,除熱性能,機械的性能,クエンチ保護についての設計検討を行い,実現可能であることを確認した。 この結果を受けて,縮小導体を試作し,通電試験と熱伝導測定試験を行った。アルミニウムの複合化には,摩擦撹乱接合(FSW)という新しい技術を採用した。通電試験においては,8テスラの磁場において20kA近い大電流の通電に成功した。また撚線化,複合化したことによる超伝導特性の劣化は確認されず,良好な結果が得られた。熱伝導測定では,撚線部の空隙が熱抵抗になっていることがわかり,インジウム等の柔らかい金属で含浸するという指針が得られた。これらの結果を受けて,さらに改良した導体を試作する予定である。 間接冷却法に必要な巻線部の平均熱伝導率を高めるためには,絶縁物における熱抵抗を減少する必要がある。そこで,セラミック絶縁システムの開発を開始した。まだ高い耐電圧特性が得られていないが,耐電圧向上のための指針を得ることができた。さらに改良した絶縁システムの開発を続ける。 要素技術の開発とともに,それらを組み合わせた構造体としての成立性を検証する必要がある。二次元,三次元の構造計算コードを使い,構造計算を進めている。さらにモックアップによる機械試験の準備を進めている。
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