研究概要 |
今年度は、エネルギーチェーン多層評価手法を地域水素利用システム設計に適用できるようにするためにモデルを改良した。主な改良点は異なるエネルギー供給システムに対して、製造、利用、廃棄のライフサイクルから効率性、環境性、経済性を明らにできるようにした点にある。改良したモデルを茨城県におけるバイオマスエネルギー利用と製鉄所の副生水素利用システムに適用し、それぞれのシステムについて効率性、環境性、経済性を明らかにすることで、地域データに基づくエネルギーネットワークの高度化に向けた解析を行った。 (1)地域のエネルギー需給予測:茨城県を対象にして、県のエネルギー需要を調査し、水素の原料となるバイオマスについて、その資源ポテンシャルを推計した。 (2)地域水素エネルギーネットワークシステムの設計:エネルギー多層評価モデルを茨城県のエネルギー供給システムについて分析できるようにシステムを設計し、それに必要となるデータを収集した。 (3)地域データに基づくエネルギーネットワークの高度化:エネルギー多層評価モデルを用いて県内において考えられる数種類のバイオマス供給システムについて効率性、環乾性、経済性を分析した。また、製鉄所の副生水素の水素供給シナリオについても水素製造方法およびオフサイト・オンサイト製造について効率性、環境性、経済性から総合的な解析を行った。環境性について見ると、製鉄所から排出される二酸化炭素を製鉄製品,COG,RESTガスに配分して分析した結果,副生水素起源の二酸化炭素よりも資材・運用で発生する二酸化炭素の排出量のほうが大きいことを明らかにした。
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