研究概要 |
(1)理論的検討 PEFCからの70℃程度の少量低温排熱で運転可能な家庭用小型吸収式冷凍機の基本仕様を決定するために,改質器を含めたPEFC発電部のモデル化と発電特性・排熱特性の予測,および少量の低温排熱で駆動する吸収式冷凍機の動作条件ならびに性能を予測するために,装置各部の物理モデルの作成とシミュレーションを進めた.今年度は,まず,実際に市販されている商用機の最低動作温度よりも25℃ほど低い温度レベル(65〜70℃)で吸収冷凍機を運転可能とするため,吸収剤として用いる臭化リチウム水溶液の濃度を商用機よりも10%程度薄くした,低濃度吸収サイクルについてのサイクルシミュレーションを行った.その結果,固体高分子型燃料電池からの排熱の温度レベルと量を明確にするとともに,PEFC実証試験機の性能測定結果と比較検討し,本研究のモデル化と予測結果の妥当性を実証した.加えて,低温排熱駆動小型吸収冷凍機についてのサイクルシミュレーション,および主要熱交換器についての伝熱シミュレーションから,コージェネレーションシステムとしての総合性能を予測した.そして,これらの結果を学術誌に公表した. (2)実証試験装置の準備 上記(1)に示した理論的検討に基づき,PEFCからの70℃程度の少量低温排熱で駆動可能な吸収式冷凍機の使用,なかでも,その心臓部である吸収器の使用を決定し,設計・製作(外注)を行った.なお,装置には高真空が要求されること,また,銅やステンレスの薄肉配管など溶接が難しい金属部品の加工が多いことから,部品の製作・組み立て,および装置の搬入・真空試験などを業者に一括して依頼した.なお,申請時には低温排熱駆動用試作吸収熱交換器一式として設備備品費を予算申請したが,実際には銅製伝熱管型熱交換器本体の製作と,試験台との接続用真空配管系の製作を分けて行った.そのため,設備備品費が申請時より安価となった.
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