固体高分子型燃料電池(PEFC)を用いたホームコージェネレーション用に、排熱の冷熱(=冷房熱源としての)利用を可能とする、熱駆動方式である吸収式冷凍機の小型化・高性能化と実用化について、理論と実験の両面より研究を進めた. まず、固体高分子型燃料電池セルスタック(トッピング)と低温排熱駆動吸収式冷凍機(ボトミング)について個々のモデル化と、それらに基づくトッピング及びボトミングの熱・物質収支を連成させてシステムの性能評価を可能としたシミュレーション手法の開発を行った.そして、PEFCスタックの発電効率、排熱量などの特性を明らかにし、発電効率としては、現在メーカー各社において開発中のプロトタイプ機の性能を予測できること、また、そのときの排熱量を定量的に示しえた.さらに、60〜70℃程度の低温排熱で駆動可能な小型吸収式冷凍機の開発を行うために、発電出力が1kWのPEFCから排出される70℃程度で1.4〜1.5kWの少量の低温排熱を熱源として吸収式冷凍機の吸収伝熱シミュレーションを行い、ホームコージェネレーション用低温排熱駆動吸収式冷凍機の基本運転特性、ならびに実用化のための具備条件を求めた.さらに、高性能伝熱面を用いた、小型吸収式冷凍機の高性能化の指針を示した. 以上の結果に基づいて、PEFCホームコージェネレーションシステムの模擬試験装置として、発電出力が1kWのガスエンジンをトッピングとし、低温排熱で駆動可能な小型吸収式冷凍機をボトミングとした、冷熱取出し型実験装置を完成させた.現在、現行の吸収式冷凍機の吸収溶液濃度に比べて5〜8%程度低濃度の吸収溶液を用いて実証実験を進めている。
|