研究概要 |
発電効率を上げるため,より送水効率の良い直径1.53m(縮尺1/17)の浮遊渚を開発して実験を行った.実験条件として,入射波高と周期を変化させ,実海域と同じ不規則波による実験を行った.越波揚程は,2cmから8cmまで2cmきざみで変化させた.送水量の計測は浮遊渚と連結した水槽に設置した波高計と送水管に取り付けた2次元電磁流速計から求めた.入射波エネルギーと送水エネルギー及び効率は式(1)より算出した. Pw=0.44H_<1/3>^2×T_<1/3>×B, P=g×Q×h, η=P/Pw・・・(1) ここで,H_<1/3>:有義波高,T_<1/3>:有義波周期,B:浮体幅(m),Q:送水流量(m^3/s),h:揚程(cm),Pw:入射波エネルギー(kW),P:送水エネルギー(kW),η:エネルギー効率である. 本研究によって得られた主要な実績下記に示す. (1)揚程4cmの場合の周期をパラメータにしたときの波高と送水量との関係から,どの周期においても波高が大きくなるにつれ流量が増加する傾向となった. (2)どの周期においても波高5cmのときの効率が最大であり,周期が短い場合において効率が高いことがわかる.これは波高が揚程より大きくなりすぎると受水枡を越波してしまうため,効率が下がったと考えられる.今回の実験では,揚程8cm,波高8cm,周期1sのときに効率は33.25%となった. (3)流速uと波高H_<1/3>の変動がほぼ同じ波形となり,送水流量は入射波の波高と周期に関係する. (4)実測した流量Qと送水管中心流速から求めたQ_tの関係式は,揚程に関係なく式(2)の線形の関係がある.Q=0.9442Q_t+388.7(Q,Q_t:cm^3/s)・・・(2) この式を用いることにより,周囲水に自由放流する場合の放流流量を算定することが可能となる. (5)同時に測定した加速度の値から,3号機はheavingがかなり小さくなり,これも受水枡の水量が影響しているといえる. (6)発電機を自作し,プロペラ,ギア等の改良を重ねている.
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